【Minecraft】マイクラ春休み自由研究 4 炭は永遠の輝き?【BE】【EE】

 

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 このシリーズ、今回はマイクラ世界でも何かとクラフター諸君をときめかせるあのアイテムについて取り上げてみます。

 

 

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ダイヤモンドと言えばリアル世界でもとても価値の高さを見いだされる *1事が多いですが、マイクラの世界においても同様に価値の高さを見いだされますね。

 そんなダイヤモンドはマイクラの世界では地下深くに鉱石に交じっていますが、リアルでも地下深く地表から150~250kmを潜った上部マントルと呼ばれる地点で生成されています。そのダイヤモンドは原子番号にして6番の炭素でできています。*2

  その炭素できた物質としては他に黒鉛等が存在しています。その黒鉛も化学式では炭素を表すC(Carbon)となります。

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その炭素に関して化学キットの元素構成器で改めて確認してみましょう。ここで注目すべきは一番外側の軌道に存在している電子です。炭素は周期表の第14族に属する元素となっており、同じ系統にはケイ素(Si)やゲルマニウム(Ge)などが有ります。

 炭素はこの外側の軌道に有る電子の全てが化学結合に関与しており、SiやGeも同様の結合形態をとります。これらにみられる結合は共有結合と呼ばれるわけです。この結合はとても密接の高い結晶構造を形成します。同じ炭素から構成されている黒鉛は、炭素原子が2次元的な平面状で六角形が連鎖した様な形状が1つの層となり、この層が段階的に重なった様な構造となります。

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黒鉛は外側の軌道に有る電子の内、平面上の3個が共有結合に関与する事となり、層間は分子間での引力によって結合が保たれています。これは共有結合に比べてかなり弱い結合となっており、ここから結晶構造の相違が生まれるわけです。ダイヤモンドは科学的な観点からも興味深い対象として見られる事が多い物質ですが、黒鉛との相違点を初めとした様々な特徴が語られる原点となるわけです。

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 ダイヤモンドと黒鉛の様に、共通の化学組成の上で異なる結晶構造を持つ物質の関係性の事は少し前だと同素体最近では同質異像と呼ばれます。おそらく前者だと同位体(同一元素で質量数が異なる)との混同が多そうなので、後者で覚える方がいいのではと思われます。

ダイヤモンドも黒鉛も同じ炭素から構成される物質ですが、異なる物質になる起源がどこになるかと言うと地球内部での生成時の圧力などの環境条件の違いのようです。

 ダイヤモンドは結晶化する条件として高い圧力や温度を必要とし、さらにその条件を維持し続ける必要が有ると言う事です。実はこの地球上の表面と言うのはダイヤモンドの安定条件の外にあり、本来結晶の維持ができません。地球上でダイヤモンドが見られるためには結晶の安定条件が崩れない内に、マグマによって音速を超える速度で地表まで打ち上げられる必要が有ると言う事です。このマグマの上昇流に乗れず、より低く、下がった圧力条件下で結晶として維持される事になったのが黒鉛と言う事の様です。マイクラの世界でもダイヤモンドが採れる位置の近くには往々にしてマグマが有ったりしますが、おそらくはこの様な環境をモチーフにしているのだろうと思えるようになりました。

 

 ダイヤモンドは科学的に見ると様々な観点から優れた特性を持ち合わせている事がわかります。代表的なのが光学的特性で、屈折率が高く光を跳ね返す性質が強いというものです。ダイヤモンドが宝石として利用される際の代表的なカット法と言うのは、ダイヤモンドの持つ光学特性を最大限に引き出すべく数学的な見識に基づいて産み出されたと言われています。この様なカット法が生まれるまでのダイヤモンドの宝石の価値は決して高いものでは無く、エメラルドやルビー、サファイアより下位だったそうです。

 それからダイヤモンドの光学的な特徴として見られる現象は強い反射の他に光の分散(分光)と言うものが有ります。テレビ等でダイヤの宝石などが紹介される時に虹色の輝きが言葉での表現と共に実際に披露されていたりします*3これはダイヤモンドに光が当たって反射が起こる際に同時に分光が起こると言うものです。機序としてはニュートンの光学実験やそこから生まれたプリズムのそれと同じで

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ダイヤモンドはプリズムの性質を持ち合わせているとも言えます。

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その他にダイヤモンドは熱伝導性が高いと言うのが有ります。ダイヤモンドの熱伝導率の高さと言うのを表現するのにデータや数値よりは「指の熱を取り込んで氷を切る(溶かす)事ができる」と言うわかりやすいエピソードが有るようです。ダイヤモンドの熱伝導の仕組みとしては結晶構造の振動(これは密室な共通結合が関係している)によって起こると言うものです。

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ところで元素構成器を使用して中性子の数を変更する事で同位体の存在を確認する事がいます。炭素の場合は4つの同位体が有り、そのうち安定同位体は炭素12と炭素13になります。炭素の同位体の存在比率は炭素13が1.1%(自然界の場合)となっています。

 ダイヤモンドの結晶中にもこの比率で炭素13が含まれていることが有ります。炭素12のみで構成された結晶に比較した場合、炭素13が含まれたダイヤモンドは熱伝導率が約0.67倍下がるとの事です。何故こうなるかについてですが、ダイヤモンドの様に密接な結合では質量の違いが結晶構造に反映されやすく、ここから結晶振動の散乱が起こる事

によるのが要因になる様です。

 

 人工的に作られるダイヤモンドと言うのが最近話題になっています。上段でダイヤモンドが地球上で生成される時の機序について書きましたが、ダイヤモンドを合成する基本的な製法の考え方は自然界で生成される高圧高温の環境をエミュレートさせると言うものです。その際に黒鉛や石炭等を原料として使用する事になります。漫画や映画等で石炭に超人的な怪力を加えてダイヤモンドに変えると言う描写が有ったりするのはここからの理屈を利用しているものと思われます。

 そういえば自分も最近知ったのですがマインクラフトでもJEにおいて石炭からダイヤモンドを作るかまどとか言うのがMODとして有ったりするみたいですね。詳細は分かりませんが上記から生まれたネタなんでしょうね。

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やっぱりこういうネタが存在するあたりマイクラは流石ですね。

 

 ダイヤモンドの人工合成自体は1950年頃に技術が確立されていたのですが、歴史的な経緯からこれらの多くは工業利用の為に作られたものでした。そもそも初期の頃は宝石として要求される品質指標で最高評点を取れる様な結晶を作り出すことが難しく、工数やコストも大きく割に合わなかったようです。近年になって製法の向上や多様化等で宝石に利用可能な結晶が作られる様になったことで話題性が高まったと言う事です。

 ダイヤモンドは工業や科学においても、これまでの工具等以外に高機能な電子材料半導体と言った先進的なハイテク分野への応用が見込まれており、材料として供給する際は高度な合成技術の存在が不可欠にもなりますので、人工ダイヤの利用が工業で先導されるというのは当分の流れだと思われます。

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ところでマイクラでのおなじみアイテムとしてダイヤのツルハシと言うのが存在する、と言うのはもうおなじみでは有ります。これはダイヤの硬さを利用したアイテムと言う事なんでしょう。ですがダイヤモンドは特定の結晶面では衝撃に弱いと言う性質が有る筈です(単結晶の場合)ダイヤモンドを利用した切断工具の多くと言うのは押し付けて潰す、とかそんな感じで利用されています。

 

 

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*1:最近は何かと議論を醸している気もしますが、、、

*2:恥ずかしながらこれを知ったのはごく最近の話なんです。実は

*3:実際、TVとかだとフィルター処理等で過剰に味付けされている可能性は否定できませんが